マンションやビル等の建物は紫外線や雨、地盤の動き等で経年劣化していきます。
経年劣化した建物を放置していると、さまざまな箇所が損傷し、建物の寿命を縮めてしまいます。
大規模修繕工事は経年劣化した建物を建築時と同様の水準まで原状回復する工事です。
ここでは、大規模修繕工事をするメリットや工事内容、適切な修繕のタイミングについて解説します。
また、2回目以降の大規模修繕工事についてのポイントや工事におけるトラブルの回避方法についても紹介しています。
数十年に1度とはいえ、膨大な費用をかけて大規模修繕工事をするメリットは3つあります。
それは「建物の安全性の確保」「美観の維持」「資産価値を守ること」です。
ここからは、大規模修繕工事をすることで得られる3つのメリットについて解説していきます。
劣化診断を行うことで、マンションの目に見えない劣化を調べていきます。
特に重要なのがコンクリートの内部劣化です。
コンクリート内部の鉄筋がサビてしまうと、建物自体の耐久力が低下していきます。
経年劣化したコンクリート表面のひび割れから水や空気が入り込むことで、サビが進行して劣化していくのです。
早期発見、修繕することで劣化を防止し、建物を守ることができます。
雨や紫外線による影響で、外壁は劣化、汚染されていきます。
外壁材の剥がれや浮き、付帯部の塗装の剥がれやサビによって美観を著しく損なってしまうのです。
大規模修繕工事の際に外壁塗装やタイル補修を行うことで、新築当初の見た目を取り戻すことができます。
繰り返しになりますが、劣化が進行することで建物の耐久性や見た目はどんどん低下していきます。
適正な時期に大規模修繕工事を行うことで「安全性」と「美観」が保たれると同時に資産価値を守ることにつながるのです。
また、修繕工事と同時にWi-Fiの設置や防犯設備の強化、バリアフリー等の改修工事を行うことで資産価値を向上させることもできます。
大規模修繕工事期間の目安は早いと3か月程度、遅い場合は12か月かかることもあります。
工事内容や工事範囲によって期間が大きく変動するのです。
上記期間は着工から工事完了までの期間の目安で、いずれも工事計画から着工まで1〜2年の期間が必要となります
工事内容の説明の前に、工事に取り掛かるまでの準備について解説します。
まずは建物の劣化状況等を調べるために建物診断を行います。
その後、工事内容や材料選定、工法や仕様などの検討をします。
総会での決議が取れれば着工となります。
ここからは、それぞれの工事内容と流れについて見ていきましょう。
まず、足場や資材置き場、現場事務所などを設置します。
足場は建物のまわり全体に設置され、そのまわりをメッシュシートで覆います。
メッシュシートは工事中の塗料飛散や資材落下の防止の役割を担っています。
下地補修はコンクリート部のひび割れや劣化箇所を補修する工事で、目視や打診によって調査されます。
下地補修に不備があった場合、その後の塗装工程等にも影響してくるため、症状の見極めや適正補修方法の選定が重要となります。
外壁にタイルが使用されているマンションでは、下地のコンクリートとタイルの両方のメンテナンスをします。
タイルはコンクリートと異なり、浮きが発生します。
仮に、タイルが剥がれて落ちてしまった場合、大事故につながりかねません。
適正な診断と補修をすることで、安全性や見た目、耐久性の強化にもつながります。
シーリングはサッシの周りや外壁同士の隙間に埋める防水材です。
施工時はペースト上ですが、硬化するとゴムになり、雨水の侵入を防ぐ役割を担っています。
経年で劣化すると、ひび割れや白化、剥がれが発生します。
シーリングの劣化は防水性能に影響するため、撤去して新しく打ち替える必要があります。
塗装工事では、見た目の改善だけでなく、外壁や鉄部の耐久力を向上する効果もあります。
外壁の場合は、汚れや雨水からの保護。鉄部の場合は、サビを抑制します。
塗料とシーリング、外壁には相性があるため、適材適所な塗料の選定が必要となります。
建物の劣化を防止するには、防水工事が重要です。
バルコニーや屋上、開放廊下や雨が直接当たる外階段には防水処理をします。
それぞれの箇所によってシート防水、塗膜防水といった材料が使用されます。
修繕工事と同時に改修工事をすることで、より快適な生活を実現できます。
改修工事は修繕工事とは異なり、「付加価値」をつける工事を指します。
例えば、階段へのスロープ設置、などのバリアフリー化や防犯カメラの設置による防犯強化などです。
繰り返しになりますが、改修工事を行うことで生活の快適度の向上とともに、マンションの資産価値の向上にもつながるのです。
大規模修繕工事目安は「12年周期」で考えられるのが一般的です。
これは、建築基準法が平成20年に一部改正されたことで、検査基準が厳しくなったことが理由として挙げられます。
建築基準法で、「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定められています。
これにより、モルタル仕上げやタイル外壁のマンションは、竣工、改修から10年経っている場合、3年以内に「全面打診調査」が必要となったのです。
1回目の工事は外部中心で行われることが多いですが、2回目以降は内部の修繕も大掛かりになります。
ここからは2回目以降の大規模修繕工事のポイントについて解説します。
大規模修繕工事が2、3回目になると、居住者の高齢化も進んでいきます。
また、子持ちの家庭が増えることも想定されます。
そうなると、バリアフリー化や騒音対策についての意見が出てくることが考えられます。
このように居住者の意見を取り入れることで、大規模修繕におけるトラブルの発生を防ぐことができます。
工事回数を増すごとに、修繕箇所も増えていきます。
また、時代にあった設備の導入や、劣化が進行して取り替えが必要な部材なども発生します。
そのため、1回目より修繕に費用がかかってしまうのです。
事前に修繕計画を立て、費用の概算を算出することで、修繕費用不足を防ぐことが重要です。そのためには、修繕積立金の見直しや、場合によっては追加費用の徴収も必要となります。
大規模修繕工事を行う上でトラブルはつきものです。
マンション居住者や近隣からの騒音トラブルやペンキや防水材の臭気のトラブル。
目視で発見できなかった外壁のひび割れなどが、仮設足場設置後に発見され、工事が追加されることによる費用トラブルもあります。
また、施工会社や管理会社とのトラブルも考えられます。
天候によって工程通りに工事が進まなかったことで、施工に不備が生じたり、管理会社に任せきりになると、不要な工事の提案を受けてしまったりすることがあります。
このようなトラブルを避けるためには、下記のポイントをおさえておくことが重要です。
・居住者とのコミュニケーションを頻繁にとる
・工事の進捗や変更点などを迅速に周知する
・管理会社やコンサルタントに任せきりにならない。
最後に、大規模修繕工事をスムーズに進めるには、施工会社が重要になります。
弊社では豊富な実績から培った知識とノウハウ、高い技術力を持っています。
大規模修繕工事からメンテナンス、トラブル回避術やアフターケアまで、一貫してお任せください。